経理業務の中で一番重要な仕事は年度末の決算です!
経理初心者の方は、
「決算業務をどのように行えばいいのか理解しづらい」
と思われたことはありませんか?
私は初めて決算処理をした時、業務内容を正しく分かっていない状態で進めた為、想像していた以上に時間がかかりました。
そこで、決算業務の流れを把握しておくと、効率良く業務が進められると思います。
私は弥生会計ソフトを使用して13年になります。
今日は年度末の決算業務の解説と、私が弥生会計ソフトで初決算をした時の体験談です!
決算業務とは、決算書を作成することです。
年度末の決算業務とは
年度末とはいつか?
一般的には3月、9月、12月が年度末で、1年以内に事業年度を決定でき、自由に変更することも可能です。
税法の改正や国の予算期間の開始が、4月から設定されているという理由で、3月決算の企業が1番多くなっています。
私の会社の年度末は12月です。
12月は年末調整などの実務、また師走の特有な忙しさもありますが、棚卸作業を年末年始にかけてできるというメリットがあります。
決算業務とは?
1年間の取引を集計して
*損益計算書(ソンエキケイサンショ)会社がどれだけ利益をだしたか、損をしたかを表す表。
*貸借対照表(タイシャクタイショウヒョウ)会社にどれだけ資産と借金があるかを表す表。
を作成します。
これが決算書です。
この決算書を作成することが、決算業務の目的です。
決算書を必要としている人
- 経営者 今後の経営判断をする。
- 従業員 労働組合などの賃上げ交渉。
- 税務署 税金を計算する。
- 銀行 融資の時の資料。
- 投資家 株売買の判断材料。
などです。
決算書は多くの人の重要な資料になりますね!
年度末の決算業務の流れ
決算業務は以下の順に進めます。
1勘定科目残高の確定 試算表の作成。
2決算整理。
3期末精算表の作成。
4決算書の作成。
5決算整理結果を元帳に転記する。
6消費税、法人税の納付。
私は2、3、4を税理士さんに依頼しています。
1勘定科目残高の確定 試算表の作成
科目残高金額 決算期では各勘定科目の金額が正しいかを確認し、残高金額を確定します。
試算表 残高金額を元に試算表を作成します。
試算表とは 決算書類の作成前に作る集計表です。
以下の3種類です。
- 合計試算表 総勘定元帳から各勘定科目の貸方合計 借方合計を記入したもの。
- 残高試算表 総勘定元帳の各勘定科目の借方と貸方の差額を残高として記入したもの。
- 合計残高試算 合計試算表と残高試算表を合わせた試算表。
弥生会計ソフトでは仕訳入力をすると自動的にデーターが転記され残高試算表が完成するので便利ですよ!
2決算整理
決算整理とは最終的な残高金額の修正をすることです。
以下の項目の計上(全体の計算に組み入れること)があります。
- 売上原価の確定 売上原価=前期の商品+当期仕入商品-当期仕入商品のうち期末在庫
- 資産の評価損計上 有価証券 株式、債券、手形、小切手などの評価
- 引当金の計上 売掛金が回収できない時に備え計上する
- 減価償却費の計上 固定資産の価値が減少した分をマイナス計上する
- 繰延資産の償却 創立費など長期にわたる費用を償却期間で費用にわける
- 経過勘定の処理 未払費用、未収収益、前受収益、前払費用の計上
経過勘定(けいかかんじょう)とは
継続的に受けるサービスで、利用した翌月に支払う経費。ex電話料金 電気料金
サービスを提供する前にお代金を頂く収益。ex内金 手付金
これらは該当するものがある場合のみ計上になり、これに伴って棚卸の実施や資産の確認などをします。
私は経過勘定、棚卸表を毎年資料として提出し、固定資産になるものを購入、売却した時に報告をしています。
3期末精算表の作成
精算表とは、試算表に決算整理の仕分けを反映して、貸借対照表と損益計算書をつくる過程を一覧にしたものです。
4決算書の作成
清算表をもとに、決算書を作成します。
5決算整理結果を元帳に転記する
決算整理で算出された金額を元帳に計上します。
弥生会計に決算仕訳として入力します。
6消費税、法人税の納付
決算書から税額を算出し税金を決算締日の2ヶ月以内に納めます。
私の会社は12月31日が決算締日なので2月28日までに支払うことになります。
以上が年度末の決算業務の流れです。
この決算業務を通常業務と並行して行うので、年度末の決算は忙しいと言われています。
決算業務の流れが分かると、自社で全てを完結するのか、外部に依頼するのかを検討できますね!
年度末の初決算で弥生会計ソフトを使った時の体験談
2007年12月末締めの初決算に向けて、弥生会計ソフトに仕訳入力をしていました。
翌年2008年1月11日税理士さんから決算書類準備の依頼がFAXで届きました。
「本年もまた貴社の決算期が到来しますので、下記のうち該当事項について、決算資料の準備をお願い申し上げます」
準備する書類は以下の内容でした。
- 総勘定元帳
- 仕訳日計表
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 各月末の合計残高試算表
- 支払の領収書、請求書、納品書 20年1月分まで
- 売上の請求書、領収書20年1月分まで
- 預貯金コピー
- 残高証明書12月31日現在
- バックアップデーター
- 期末棚卸表
- 売掛金、買掛金の相手先住所 氏名(名称)金額 上位5社
- 経過勘定
- 税務署及び県税事務所から届いた申告用紙
こんなに提出するものがあるとは知らなかった(・・;)
最初はこのFAXを見ただけで疲弊してしまいました。
でも始めてみたら、時間はかかりましたが出来ましたよ♡
次の順序ですすめました。
① 残高証明書の発行
最初に預金の残高証明書を発行してもらう為に銀行に行きました。
残高証明書とは、指定した日の預金残高を銀行が証明してくれる書類です。
2007年12月31日現在の残高を申し込みました。
10分ほど待ち時間があり、発行手数料は500円必要でした。
来年度の残高証明書は郵送可能とのことでしたが、早く戻って決算処理をしたかったので
「改めて申し込みに来ます」
とお伝えしました。
② 仕訳入力の確認 残高確定
次に仕訳入力の最終確認をしました。
ここで売掛金の補助科目が登録されていない事に気が付き、弥生カスターマーセンターに登録方法を問い合わせし、補助科目を登録ました。
総勘定元帳の現金 預金 売掛金 買掛金を印刷し、
(4つの勘定科目に全ての取引が含まれているという理由で)
日付・科目・金額が、伝票やレシートと合っているか。
摘要欄も一貫性のある記載になっているか。
などを確認しました。
③ 決算整理に必要な書類の準備
- 棚卸表
- 売掛・買掛上位5社
- 経過勘定
はWordで作成しました。
経過勘定の意味が分からなかったので調べました(・・?
経過勘定は、項目と金額、口座引落日を箇条書きで大丈夫でした。
④ 帳票の書類を印刷
- 総勘定元帳
- 仕訳日計表
- 現金出納帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 各月末の合計残高試算表
全部弥生会計で出力できました。
決算書類の準備を進める中で、訂正箇所が見つかると弥生会計で修正します。
最終確認が終わってから、まとめて最後に印刷した方が効率がいいですよ♡
⑤ 納税に必要な書類の準備
税務署、県税事務所から送付される申告用紙は1月末に届きました。
この申告用紙も決算書類と一緒に提出するので、税理士さんに決算書類を送るのは、早くても1月末になります。
この他に
パートさんやアルバイトさんの人員の変更報告。
固定資産に該当する、購入したもの売却したものの報告。
も必要でした。
⑥ 決算書類を郵送
2月5日書類準備ができ税理士さんに郵送することができました。
ゆうパック 80サイズ
⑦ 決算金額の確認
2月20日。税理士さんからFAXで連絡がありました。
「数字を確認していただいて、問題がなければ決定します」
とのことでした。
社長が確認後、税理士さんに連絡し決算書が完成しました。
⑧ 税理士事務所に訪問
2月25日税理士事務所に訪問しました。
決算書を頂き、税務署の申請書類に社印を押します。
私は決算整理の仕訳表を頂きました。
⑨ 税金の支払い
税理士さんから、法人税と所得税を納める振込用紙を頂きます。
2月末までに入金なので、すぐに銀行に行き支払いをしました。
⑩ 整理仕訳の入力
弥生会計に整理仕訳(決算仕訳)を入力します。
振替伝票の決算仕訳をクリックすると入力できます。
決算書の数字と弥生会計の数字が合うと次の期に繰越できます。
弥生会計で決算書を見るときは、決算・申告(K) 決算書作成(K) 印刷プレビュー画面で、確認できます。
終わってほっとしました(^^)/
が、2月末時点で1月2月の仕訳入力が溜まっています!
翌年の年度末の決算に向けて改善したこと
初めての決算がとても時間がかかったので どうしたら良いかを考えました。
- 仕訳入力を年度末の決算日前にできるだけ終わらせる。
- 棚卸の卸単価などを前もって確認し棚卸表を早めに完成させる。
- 残高証明書の発行は郵送可能とのことなので、手続きをする。
- 税理士さんへの報告事項(雇用者の方変更、固定資産の増減、他)は、あらかじめ準備しておく。
- 決算の段取りを一覧にする
などです。
年度末の決算まとめ
- 決算業務の流れや内容を把握する。
- 決算業務で早期にできることは、済ませておく。
- 決算業務の優先順位をつける
- 日常の業務があり決算業務が難しい場合は、外部に依頼できるサービスを利用する。
年度末の決算時はどの会社の経理部門も殺気だち、とても忙しいとお聞きします。
通常のお仕事が滞りなくできるように業務を分散し、事前にできることは、どんどん進めたほうがいいですね!